chapter:★ライバル登場★ その日の放課後。 ぼくはいつも通り生徒会室へと向かうため、教室を出た。 いつもなら、先に着いている生徒会室にいる紅葉にあそばれるんだけど、今日は少し違った。 「雨宮(あまみや)くん、少しいい?」 「?」 ぼくに用事? 後ろから呼び止められて振り向けば、そこには髪の毛を後ろでアップにしている女子がいた。 学年はたぶん、ぼくと同じだろう。 ぼく自身を人差し指で指すと、少しつり目の気が強そうな彼女はコクンとうなずいてみせた。 なんだろう? 何か困ったことでもあったのだろうか? 首を傾げると、女子は後ろを向いた。 なんだろう? ますます意味がわからなくなって女子を見つめていると、声をかけてきた彼女の後ろから……あの、霧我(むが)を一心に見つめている三つ編みの女子がひょっこり現れた。 「屋上で話しがしたいの。今、いい?」 『屋上』 普通なら、その言葉を異性から聞けば告白だと思うだろう。 だけど、ぼくの場合、そうじゃない。 だって、ぼくは女子からはそういう対象としては見られていないから……。 ――ともすれば、これは誰かに告白するタイミングや代弁をお願いされるパターンに違いない。 ぼくの場合、その対象は同じ生徒会にいる、紅葉(もみじ)と霧我のふたり。 そして今回の相手は、間違いなく霧我の方だっていうことも知っている。 |