お願い、ギュッてして!
★第六話★





chapter:★ライバル登場★







その日の放課後。

ぼくはいつも通り生徒会室へと向かうため、教室を出た。

いつもなら、先に着いている生徒会室にいる紅葉にあそばれるんだけど、今日は少し違った。



「雨宮(あまみや)くん、少しいい?」


「?」

ぼくに用事?


後ろから呼び止められて振り向けば、そこには髪の毛を後ろでアップにしている女子がいた。


学年はたぶん、ぼくと同じだろう。

ぼく自身を人差し指で指すと、少しつり目の気が強そうな彼女はコクンとうなずいてみせた。


なんだろう? 何か困ったことでもあったのだろうか?

首を傾げると、女子は後ろを向いた。


なんだろう?

ますます意味がわからなくなって女子を見つめていると、声をかけてきた彼女の後ろから……あの、霧我(むが)を一心に見つめている三つ編みの女子がひょっこり現れた。


「屋上で話しがしたいの。今、いい?」


『屋上』

普通なら、その言葉を異性から聞けば告白だと思うだろう。

だけど、ぼくの場合、そうじゃない。

だって、ぼくは女子からはそういう対象としては見られていないから……。


――ともすれば、これは誰かに告白するタイミングや代弁をお願いされるパターンに違いない。


ぼくの場合、その対象は同じ生徒会にいる、紅葉(もみじ)と霧我のふたり。

そして今回の相手は、間違いなく霧我の方だっていうことも知っている。





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