chapter:▽・w・▽つ【わんわんほりでぃ〜】 「あのな、謝るくらいだったら早く……」 「慶(けい)、まだ来られそうにない?」 教室のドアがガラガラと開いて、委員長の怒鳴り声にかぶさったその声で、委員長もぼくも視線を上げた。 顔は、涙でにじんで見えないけれど、委員長とバスケットボールを一緒にする約束をしている人だっていうことはわかる。 「勉強の付き添い?」 「おう、奏(かなで)か。次の3日後の小テストでいい点採れるようにしてくれってヤマ先から言われたんだ。悪りぃ、今日は俺、バスケ行けそうにないわ」 教室にやって来たその人は、『奏』って言うらしい。 その人と話す委員長の残念そうな声がぼくの良心を襲う。 チクチク、ズキズキ。 物分りが悪いぼくのせいだと思えば、とても悲しくなる。 「ごめんなさい……」 ぼくはまた、小さな声で謝った。 「慶、バスケ好きだもんね。でも慶、泣かしちゃダメじゃんか」 「だって、ものすげぇ楽しみだったのにさ、ヤマ先の奴が……」 「だからその役、僕が引き受けるよ」 ――えっ? 選手交代にびっくりして目をパチパチさせたら、ほろりと涙がこぼれた。 「けど、お前は? バスケしなくていいのかよ?」 「うん、今日の体育バスケだったから。ちょっと飽きちゃって」 「そか、サンキュな!!」 ぼくの目は涙でいっぱいだから、いったい何が起こっているのかわからない。 でも、ドアが開くガラガラっていう音と、ピシャンって閉まる音がしたから、委員長はグラウンドに行ったらしいことはわかった。 「さて、君はどこで行き詰まっているのかな? えっと……」 |