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明け方に、胸が苦しくなって目が覚める事がある。

見えない何かが押さえ付けているように、息が苦しくなる。

今日も輝夜はそうして目覚めて、横になったまま空が白んで部屋が明るくなって行くのを眺めていた。

これは多分、初めて宮中に入った日に感じたのと同じものだと思う。

あの時は気のせいかと思ったけれど、この感覚は此処で過ごすごとに強くなる。

常に清く保たれている筈の宮で、どうしてこんな淀んだ空気を感じるのか。

しかもこれは、生きている人間のものではない。

輝夜は痛む頭を振って体を起こした。

(飛龍じゃないけれど、こんな所に長くいたら体を壊しそうだわ。皆平気なのかしら)

此処で暮らしているのだから大丈夫なのだろうが、この宮中の空気の違和感に気付いているのは自分だけなのだろうか。

身支度を整えて、いつものように飛龍の部屋へと向かう。

澄んだ朝の空気と、眩しい光は郷と変わらないのに。

締め付けられるような苦しさが迫って、少しも気分は晴れない。

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