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軽やかに衣をなびかせて輝夜が部屋から出て行くと、赤羽は気遣う口調で呟いた。

「輝夜、顔色良くなかったな」

「ええ。此処は彼女には合わなかったのかもしれませんね」

「……だから輝夜が外に出て気分転換出来るように、わざとあいつが抜け出した、なんて事ねえよな?」

赤羽の言葉に、角鹿は深く息を吐き出す。

「さあ、どうでしょう。あのいい加減な男がそこまで考えているとも思えませんが……でも案外、そうかもしれませんね」

何も考えていないようで、本当は何処までも遠く深くを見ているような男だから。

いつだって自分から荷を増やしてしまう。

そしてそれを他の者には決して見せないから。

教えてやって欲しい。

絶対に敵わないものもあるのだと。

誰かを助ける為に己を犠牲にする事で、傷付く者もいるのだと。

一人で全ての痛みを背負おうとする事で、余計に心配する者もいるのだと。

それは、大切に思われているからだと。

彼はきっと、そんな些細な事に気付けない。

当たり前に自分を責め続けるから。

いつも叱ってやって欲しい。

やがてそこから変化が生まれるように。





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