02
いつの日か、こんな自分を許せる時が来るのだろうか。
もしもそんな奇跡が訪れるのなら、それはきっと。
飛龍は息を吐いて刃に付いた血を払い、太刀を仕舞った。
向きを変え、輝夜の側に立ち尽くしたままの漣星に近付く。
「漣星だな。輝夜からの報告は受けている」
漣星は弾かれたようにその場にひれ伏す。
「はい。私は闇の者、貴方の敵です」
「馬鹿を言うな。俺の民に敵も味方もあるか」
軽く言って、飛龍は漣星の前に座り込んだ。
「光も闇も無い。豊葦原に住まう以上、皆が民だ。俺が守らねばならぬ大切な存在だ」
驚いたように目を向けた漣星に、自嘲気味の微笑を浮かべる。
「守るべき民と戦うなど、己の体を傷付けるに等しい行為だ。俺はもう、そんな痛みを繰り返したくはない」
飛龍は手を伸ばし、軽く漣星の肩を叩いた。
「だからいい加減に光と闇の戦も終わらせたい。その為に、お前の力を借りたい」
「主上……」
戸惑ったように視線を動かした漣星と輝夜の目が合った。
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Reservoir Amulet