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「…………」

その沈黙で、何を感じ取ったのかに気付いた。

『お別れなの』

以前の自分と同じ、もう二度と会えない別れを覚悟した者の持つ。

体が抉り取られる程の痛みを、必死に堪える声。

あの時、また会えると慰めてくれたのは輝夜の方だったのに。

今度は、彼女がそれを味わうのか。

どんなに覚悟しても、別れは辛く悲しい。

それを知っているから、飛龍は手を伸ばして輝夜の白い頬に触れた。

「待っているぞ、輝夜」

「飛龍?」

驚いたような大きな瞳を見詰めて続ける。

「生憎、天界まで迎えに行く事は出来んからな。だが、俺の思う民の中にはお前も入っているのだぞ。帰って来なければ許さんからな」

「……それは命令かしら?」

訊かれて、飛龍はふっと笑って頷いた。

「ああ、そうだな。勅命だ。必ず帰って来い」

その言葉に、輝夜も笑顔を浮かべる。

「全く、仕方の無い人ね。そう言われたら逆らえないって分かって言っているんでしょう」

「当然だろう。今ばかりは帝で良かったと思うぞ」

「……分かったわ。帰って来る、貴方の元へ。だからそれまで、この地上をお願い」

「任せておけ」

輝夜の纏う衣が光を放ち始める。

「じゃあ、そろそろ行くわ。またね、飛龍。どうか貴方の道行きに光がありますように」

微笑みを交わして、再会を誓って。

それぞれの道行きに光を。





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