02
誰かを待ち続けたり、想い続ける事はとても幸せな事で。
同時にとても切ない事なのだと初めて知った。
こんなに苦しいのか。
人を、誰かを想うというのは。
こんなに苦しい思いを乗り越えて、皆は恋をしているのか。
焦がれる程に、胸は熱くて。
暖かな想い出を抱きながら。
会いたくて会いたくて会いたくて。
「………飛龍殿?飛龍殿!」
名前を呼ばれてはっとして顔を上げると、角鹿の怒りを宿した瞳と目が合った。
「ぼんやりするのはご自由ですが、時と場を考えて下さい」
「あ、ああ。すまない」
「まあ、気持ちは分かるけどな。輝夜が郷帰りしちまったから寂しいんだろ。何か嫌に静かだしな」
同じ部屋にいる赤羽が、苦笑気味に続ける。
「何なら、ちょっと会って来たらどうだ?輝夜の郷って確か出雲の側だったろ?」
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Reservoir Amulet