12
街の宿屋に預けていた馬に二人で乗り、宮へと駆ける。
自分の前にある温もりも、流れて来る甘い香りも、時折肌をくすぐる髪も。
何もかもが以前と同じで。
初めて輝夜と共にまほろばに来た時は、気にも止めなかったのに。
今それに気付いたのはきっと、自分の心が変わったからだ。
(……変われるものなのだな)
失われていたもの、積み重ねた時間、愛しい記憶。
時が経つと共に変わって行くものがあっても。
変わってほしくないものもある。
「飛龍?どうしたの、黙り込んで」
「ああ、いや……。何でもない」
声を掛けられて我に返ると、輝夜は訝しげに続ける。
「本当?飛龍がぼんやりするなんて珍しいわね。抜け出した言い訳でも考えていたの?」
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Reservoir Amulet