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「でも、それだけでは足りなくて。もしも会えたら、絶対忘れさせないって思っていたわ」

「ああ、その位強気な方がお前らしいな」

笑い合って、飛龍はそっと輝夜の手を取る。

「では行くか」

「何処へ?」

「俺の住処だ。丁度今は他の皆も顔を揃えている」

「本当?久し振りだわ」

嬉しそうに言った輝夜が、苦笑して付け足す。

「違うわね。皆にとっては、初めましてだわ」

「寂しいか?」

尋ねると、輝夜は小さく首を振った。

「いいえ。私には貴方がいるから大丈夫よ」

「……そうか」

お互いに満たされた気持ちで歩き出しながら、輝夜が口を開く。

「ねえ、飛龍」

「何だ?」

「一応皆には初めて会う事になるから、私はやっぱり大人しくおしとやかにしていた方が良いのかしら」

「は?」

思い掛けない言葉に、飛龍は思わず隣を見た。

「あの頃は武器を持って戦場に出ていたけれど、もうそんな事は無いだろうし。飛龍の側にいるのなら、その方が良いのではないかしら」

「何を今更。変に取り繕うと後で自分が苦労するぞ。無理な事を考えるな」

「な、何よ!人が折角気を遣っているのに!」

飛龍は声を大きくした輝夜に溜息をついた。

「ほら見ろ。やはり無理だろう。大体お前が大人しくしていたら、腹でも壊したかと逆に俺が気を遣うぞ」

「ひ、飛龍の無神経!感動の再会を果たしたばかりなのに何なのよ、その態度は!」

「そう思うならお前こそ、その喧嘩腰の態度を改めろ」

文句を言い合いながら並んで歩く一時が、懐かしい。

こんな何気無い日常を過ごせる事の尊さを知ったから。

穏やかな午後の時間、二人の影が一つに伸びる。

こんな何も無くて満たされる日々を、叶うならずっと。





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