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答えは出ないまま、ふと気付くと領主の屋敷が見える所まで来ていた。

大きな屋敷の門の前には、見張りの姿がある。

輝夜は木々の間に身を隠しながら、周囲を歩いてみた。

(とても強い力が、この屋敷を取り巻いているわね。でも……これは)

瞳を鋭くして、感覚を研ぎ澄ます。

(領主が神を無理矢理従えて、結界にその力を使っているとしか思えないわ)

加護を与えているのではないなら、神を解き放ち結界を消す事は出来るだろう。

しかし、一人では屋敷に乗り込むなどとても無理だ。

捕らえられた村人を助け出す前に、護衛に取り押さえられる。

多少腕に覚えがあっても、それだけでは到底敵わない。

すぐ近くに領主がいるのに、この腕は届かない。

(私は、なんて無力なのかしら)

輝夜は悔しさに唇を噛み締め、来た道を引き返した。

一人で出来る事には限界がある。

しかし今、周りには誰もいない。

頼れるのは、誰もいない。

それでも、知ってしまった見てしまった以上は、諦めて先へ進む事など出来そうに無かった。

どうしても胸が騒ぐから。

まるで誰かが引き止めているように、この高千穂から動きたくない。

自分にはどうする事も出来ないと分かっているのに。

ざわめく胸の思いは何処までも広がって。

気持ちが落ち着かない。

何故なのだろう。

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