02


眠れない夜を過ごし、眩しい朝の光の中で身を起こす。

新しい一日が始まったばかりの世界はまだ静かで、空気も張り詰めている。

輝夜は冷たい水の流れに手を浸し、顔を洗った。

こぼれる水の飛沫が、光を受けてきらきらと輝く。

清らかな水に触れただけで、心まで洗われる気がする。

目を閉じて、その流れに耳を澄ます。

そうしていると、水の気持ちに包み込まれるのが分かる。

何処までも静かで穏やかな気持ち。

いつか辿り着きたいと憧れる、優しい静けさ。

幼い頃から、水に触れる度に心が落ち着いた。

今のように、理由も分からないような大きな不安に捕らわれている時でも。

それなのに、何故だろう。

胸騒ぎが収まらない。

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Reservoir Amulet