02
眠れない夜を過ごし、眩しい朝の光の中で身を起こす。
新しい一日が始まったばかりの世界はまだ静かで、空気も張り詰めている。
輝夜は冷たい水の流れに手を浸し、顔を洗った。
こぼれる水の飛沫が、光を受けてきらきらと輝く。
清らかな水に触れただけで、心まで洗われる気がする。
目を閉じて、その流れに耳を澄ます。
そうしていると、水の気持ちに包み込まれるのが分かる。
何処までも静かで穏やかな気持ち。
いつか辿り着きたいと憧れる、優しい静けさ。
幼い頃から、水に触れる度に心が落ち着いた。
今のように、理由も分からないような大きな不安に捕らわれている時でも。
それなのに、何故だろう。
胸騒ぎが収まらない。
- 82 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet