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それまでまともに顔を見た事も無く、クラスメートを覚えようともしていなかった。

勇が適当に返すと、少年は嬉しそうに笑った。

「やっぱりそうか。同じバイト先なんて奇遇だね。僕は大嶋隼、君は?」

「……神崎勇」

「宜しく。今日はお客さんも少ないし、暇だよね」

隼は隣に立つと、同じように空を見上げた。

「空を見てると思うんだ。こんな広い空に比べたら、自分って何てちっぽけな存在なんだろうって……」

「…………」

勇が何も言わずにただ隼を見ていると、不意に視線が向けられた。

「僕達の高校って勉強厳しいから、バイトしてる人は滅多にいないらしいんだ。それなのにどうしてバイトしてるのか……訊いていい?」

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