03


勇がひかりの前に紅茶が入ったカップを置いた。

「あ、有り難う……」

「熱いから気を付けろよ」

勇はそれだけ言うと向かいに座り、自分もコーヒーに口をつけた。

少しして、ひかりがぽつりと口を開く。

「前に言った事、覚えてる?私が記憶を取り戻せば、勇が命を狙われている理由も分かるかもしれないって」

「ああ。あの時はそんな訳無いと思ったが、俺の過去に理由が入り込む隙があるのも事実だった」

目の前の少女の頭にぽんと手を置いて続ける。

「もし良かったら話してくれるか?それがどんな事でも構わないから」

「え、聞いてくれるの?」

「当たり前だろ」

あっさりとした返事に、ひかりは微笑んだ。

「勇、優しいね」

「そうでもないぞ」

「ううん、優しいよ。私、そんな勇が大好き」

その時、勇が丁度飲もうとしていたコーヒーで激しくむせた。

「勇!?どうしたの、大丈夫?」

「……ああ」

勇は気を取り直して大きく息をつきながら、何も変わらない様子のひかりを見る。

(聞き違いだよな……?)

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