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ひかりの額に自分の額を付け、もう一度呟く。
「有り難う」
どうして、こんな自分の側にいてくれるのだろう。
手を伸ばせば触れる事の出来る、すぐ側に。
いつも。
「勇?」
戸惑うように名を呼んだひかりが、指でそっと頬に触れる。
その温もりを、今なら心地良いと素直に思える。
「勇、あったかいね」
微笑んだひかりが、優しい声にも決意を滲ませて言う。
「私、やっぱり貴方を守りたい。この温もりを、無くしたくない」
「……そう、だな。俺も、大人しく死んでやるなんてごめんだな」
これまでに無い位近くで視線を交わして、誓い合う。
「変えよう、未来を」
「……ああ」
まだ、未来は確定していない。
ならば、許されないとしても変えて行こう。
使い方一つ過つ事で痛みを生むなら。
良い方へも変えて行けると実証しよう。
父が訴えたかった事を、この身で引き継ぐ。
過ちを繰り返す人は、それでも。
それでも、信じられる強さを持っていると。
誰かの為に、人の為にひたすら必死になったり。
一緒に傷付いたり、慰め合ったり。
そういう触れ合いで、人は変われる。
生きている理由を、生きている歓びを見付けられた今だから。
生きていたい。
このまま生きる事を諦めて、終わってしまいたくはない。
まだ定まっていない未来ならば、変えて行こう。
そこにどんな真実があるとしても。
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Reservoir Amulet