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「ひどい雨の夜に、外に飛び出したの。他の事は、何も考えられなくて」

その時頭の中にあったのは、一つの真実。

もしかしたら、もしかしたら会えるかもしれないという事。

神崎勇という少年に。

そう考える事自体罪なのかもしれないけれど、それでもどうしても会いたかった。

「研究施設に行って、まだ開発途中の時空間移動制御装置に飛び込んだの」

警備員や研究員を蹴散らし、無我夢中で。

まだテスト運行もしていないような装置を動かし、10年前の過去に設定してその中に身を投じた。

直後の事は、今もまだよく思い出せない。

そして気付いたら、勇の部屋にいた。

「ごめんなさい。そんな事、するべきじゃなかったのに。勇のご両親も言った通り、過去を変えるなんて……。誰にも許されないのに」

勇は俯いたまま語るひかりを見詰めた。

自分の危険を省みず、安全性も保証されていない装置に飛び込んで。

全てはただ、こんな自分に。

『ずっと、貴方に会いたかったの』

手を伸ばしてそっとひかりの頭に乗せ、その瞳を覗き込む。

「……有り難う」

「え?」

『この広い世界に、たった一人でもお前を必要としてくれる人がいれば』

きっと、きっとそれこそが、生きている理由に。

歓びになるから。

『きっと見付かるよ』

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Reservoir Amulet