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十年後、自分はどうしているのだろう。
今はまだ、予想も出来ないけれど。
「しかし、今十歳で十年後に戻ったって事は、あいつは俺より年上だったのか。で、次に会う時は年下か。随分ややこしいな。でも」
未来は描ける。
毎日仕事をして、家に帰って、そしてひかりがいてくれる。
笑っていてくれる。
そんな未来の為に、今はただ。
「お二人共、そろそろ下に……」
ドアを開けて屋上に入って来た宴が、勇一人しかいないのを見て目を見張る。
「おや、ひかりさんはどうしました?」
「帰った。また十年後に会えるだろ」
寂しくないなんて言ったら嘘だ。
普通に返したつもりでも、声が震える。
それでも、待つ事は出来るから。
待っていられるから。
待っていよう、いつまででも。
今はただ、未来の再会の時を。
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Reservoir Amulet