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ひかりは一瞬息を吸い込み、それから再び口を開いた。

けれどその声さえも、もう届かない。

『大好き』と、言われたような気がした。

深い意味なんて、無いかもしれないけれど。

触れられないと知りながら、勇はひかりの髪の辺りに手を伸ばした。

そして不意に二人の距離が近付く。

ほんの一瞬だけ唇が触れ合ったと思ったのは、願望ゆえかもしれない。

その後にはひかりの姿は、腕の中から掻き消えていた。

余韻さえ残さず、刹那の内に。

最初からそこにいなかったかのように。

けれど、まだはっきりと焼き付いている。

時折不安気に揺らぐ、明るい瞳。

そっと背中を押してくれる、優しい声。

触れた温もり、幼さを残す笑顔。

全てが鮮明に焼き付いて、忘れる事など到底出来そうにない。

「……いきなり現れていきなり消えるのか。全く勝手な奴だな」

勇は一人呟いて、腰に手を当てた。

「仕方無い。今度会ったら怒ってやるか」

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