02
降り注ぐ雨の音を聞く度に、思い出す。
時に激しく、時に静かに。
胸に染み入り揺らす雨音は、まるで彼女の想い出のようだ。
このまま、その切ない心地良さの中に身を浸していたい。
『……勇?何やってるの?』
今もまだ、目を閉じれば鮮明に思い出せる。
「勇?何してるの?」
まるですぐ側で、話しているように。
『会いに行くから、待ってて』
「会いに来たよ、勇」
そう、手が届く程すぐ近くで。
「もう、無視しないでってば!」
「……!」
頭をはたかれて目を開ける。
するとそこには、少し不機嫌そうな顔をした娘が立っていた。
視線が合うと、微笑んで言う。
「寝てたの?寝不足?忙しいの分かるけど、ちゃんと睡眠は取らなきゃ駄目だよ」
「……ひかり?」
「うん」
「本物か?」
まだ信じられずに問い掛けると、ひかりは笑顔のまま手を握って来た。
「私は此処にいるよ、勇。待った?」
「ああ。全く、いきなり現れるのは相変わらずだな、お前」
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Reservoir Amulet