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ひかりはベッドの上で膝を抱え、空に浮かぶ月を眺めていた。
雲に月が隠され、光が弱くなる。
澄んだ、美しい光。
柔らかな光が薄れても、願いは薄れる事は無く。
「いつか、本当の希望を……」
いつか、心から笑えるように。
祈るから、心から。
幸福になって。
誰よりも、貴方は。
月の光のように冷たくて優しいあの瞳を、あの人を、見る度に願ってしまうから。
いつの日か本当の希望を、幸福を。
何よりも、貴方へ。
再び月が顔を出し、一条の光がそれぞれを照らし出した。
それぞれの想いを胸に、夜は更けて行く。
既に様々な思惑が加速する中、小さな願いは静かに空に昇って行った。
いつかきっと届くように。
静かな月夜に静かな願いを。
確かな祈りを。
美しい、あの光に乗せて。
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Reservoir Amulet