夕暮れ




茜射す夕暮れ
木の葉舞う風に
吹き抜けた想いに
涙さらって行く

哀しみの調べが
届かないのなら
残される痛みを胸で奏でて

ただ一人俯いた瞳に
霞んだ光が僅かに伸びる時
温かなその頬に口付けを
哀しみの言葉の代わりに
永遠の誓いを交わして

溢れ出す想いを
飲み込んだまま
静かに沈む瞳は
前を見据え先へ

哀しみの調べが
届かず消えるなら
進んで行く痛みを
心で奏でて

側にいると誓った遠き日に
報われぬ約束を
胸に抱いていた
暖かな微笑みをその手に
古の誓いを忘れても
優しく口付け交わして

痛みを知らない
無垢な白さより
貴方の痛みを知る
鮮やかな茜色に染まるから

泣いていい
一人じゃないから
世界が全て
茜色に染まって行く時
いつの日も貴方を想うから
古の誓いを無くしても
夕日は沈んで行くの
哀しく 美しく……





- 20 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

ページ:





Reservoir Amulet