05


やがて、生い茂る木々が尽きて視界が開けた。

セレネは息を切らしながら足を止める。

本当に着いてしまった。

もう誰もいないという城に。

漂う霧の中、影のように黒く高くそびえて。

小高い崖の上で、静寂の空気を纏う。

不気味な夢で見るような、暗い廃城。

こんな大きな建物が、どうして街から見えないのか。

どうして自分は来る事が出来たのか。

疑問はあるけれど、今は。

セレネは意を決して、城の方へと歩き出した。

近付くにつれて、重苦しい空気に潰されそうになる。

胸の鼓動は激しくなり、恐れに似た感情に支配される。

この先へ進んではいけない。

知ってはならない。

そう思うのに、足の歩みは止まらない。

何がこんなにもこの身を駆り立てるのか。

城の入り口へと続く、長い階段の下まで来て立ち止まる。

その上に、人影がある。

息が止まりそうな胸騒ぎを覚えながら、階段に足を掛けた。

まだ遠く、霧が視界を遮る。

それでも、先にいるのが誰なのか何となく分かっていた。

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