06


やがて目的の場所に辿り着き、足を止める。

そこには崩れ落ちた城の跡があった。

昔、二人が別れたあの場所だ。

霧に包まれそびえていた頃とは、雰囲気も全く違う。

周囲には緑があって花が咲き、爽やかな風が吹き抜ける。

「……日の光の下で此処に立つのは初めてだな」

エンデュミオは低く呟き、階段の残骸へと近付いた。

僅かに残る階段の跡の前で膝をつき、持っていた花束を置く。

「かつての私は死ななければならなかった。何人もの命を、此処で奪って来たのだから。あのまま存在していては、更に罪を重ねるところだった」

それは許される事ではない。

どんなに悔いても、その事実は変わらないから。

「それでも今、再び私は此処に来れたから。せめて祈り続けようと思う。私が奪った多くの命の、幸いを」

巡り続ける生で、どうか幸せが訪れるように。

「そうね。私も祈るわ」

自分達が昔の記憶を知ったのは、その為なのかもしれない。

どんな悲劇も、いつか幸いへと繋がるという証の為に。

叶わなかった夢も、報われなかった想いも。

強く抱き続ければ、消えはしない。

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