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その想いは、ちゃんと伝わっている。

それは流れ込んだ記憶にも、気が付くと口ずさんでいる歌にも、溢れる程に込められている。

時の流れにも消えない強さで、きっと世界に息衝いている。

「……最期を歌う旅の歌人が貴女だったのは、私にとって何よりの幸せだな」

出来上がった花束を差し出され、受け取って微笑む。

「有り難う、セレネ」

「エンデュミオ。忘れないでね。貴方が幸せなら、私はそれだけでいいの。短剣を使った私は、いつもそれだけを願っていたわ」

そして、生が尽きるまで頑なに歌い続けた。

「それに、お礼を言うのは私の方だわ。誰かを愛する素晴らしさを教えてくれたのは、貴方だから」

昔も、今も。

どんな切っ掛けでも、惹かれた気持ちは本物だと胸を張って言える。

そうでなければ、今こうして共にいられる筈は無いから。

そんな奇跡が起こる筈は無いから。

流れ行く時の中、生きている沢山の人々の中。

巡り会えた奇跡に感謝したい。

こうして手を繋いで隣を歩ける時間が、愛しい。

何気無い一時を過ごす事も叶わず終わってしまう事もあると、分かっているから。

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