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昔は今程、自分の兄という存在を重圧のように感じてはいなかった。

自分と全く同じだと思ってしまう事もあったけれど、双子の兄として。

純粋に尊敬していたし、親しくもしていた。

むしろ他人では分からない事を分け合える、特別な存在だと思っていたのだ。

大学進学を機にお互いに一人暮らしを始めてからも、度々それぞれの部屋を訪ねたりしていた。

至高がそれまでに何人かの女性と付き合っていた事も知っていたが、特に興味も無かった。

ただ、相手がよく変わっているのは分かったから、女性に対して気の毒には思った。

それを間近で見ていたから、自分は誰かに恋しようと思えなかったのかもしれない。

そんな中、彼女に出会った。

至高に借りた本を返そうと、彼のマンションに向かう途中の道で。

二人寄り添って歩く姿を見た。

ちらりと見ただけだったけれど、一目で恋人同士だと分かった。

驚いたのは垣間見えた至高が、とても穏やかに笑っていた事。

これまでに見た事が無い程幸せそうな愛しそうな表情で、並んで歩く女性を見詰めていた。

その時、感じたのだ。

至高は遂に見付けたのだと。

その生涯を共にする相手を。

己の命を賭けて愛し抜く、たった一人を。

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