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一瞬、時が止まったかと思った。

至聖が何を言ったのか、何が起こっているのか分からないまま、ぼんやりと見返す。

「始めから、手が届かないって分かってた。俺が最初に君を見た時にはもう、至高が隣にいたから。あいつが本気で恋してるってすぐに気付いたし、俺が入る余地なんて何処にも無いって、分かってた」

まるで自分を嘲笑するように、諦めに慣れた口調は続く。

「だけど、どうしても忘れられなくて。それでも時々、至高と君が一緒にいるのを見ると嬉しかったよ。幸せそうな二人を見るのは切なかったけど、同時に歓びでもあったんだ」

静かな語りに耳を傾けている内に、少しずつ心が落ち着いて来る。

「だから、至高が自らその幸せを手放したと知った時はショックだった。それも君を傷付ける酷い仕方で別れたと知って、改めて至高の本気を感じたんだ」

最初の驚きと戸惑いが落ち着いて来ると、別の感情が胸を占め始めた。

「でも正直……悔しかったよ。俺だったら絶対に、あの女性を泣かせたりしないのに。先に出会っていたのが俺だったらって。未練がましく考えてるんだ、今もね」

何を言えばいいのか、分からない。

「俺はずっと、君が好きだよ」

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