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至聖は心外そうに首を傾げてから、視線を前へと戻した。

「俺なら平気だよ。それに……」

闇の中で時折響く銃声を確かめるように口をつぐみ、それから微笑を浮かべる。

「皆、戦ってるんだ。俺だけ逃げる訳には行かないよ」

「…………」

この時、真宵には分かった気がした。

良く似た二人の、決定的な違いが。

同時に、かつての恋人が感じたであろう事も。

ずっとずっと、戦って来たのだ。

皆、それぞれの場所で、それぞれの痛みを抱えて。

そして、今此処にいる。

「人を極悪非道呼ばわりとはひどいですね」

不意に、穏やかな声が聞こえた。

闇に響くゆっくりとした足音、やがて月光に照らされる余裕のある笑み。

「盗み聞きとは趣味が悪いね、至高」

「滅相もない。たまたま聞こえて来ただけですよ」

「その割には、随分前から聞いてたみたいだけど」

お互いに笑顔のまま交わされる会話は、棘が含まれているから余計に怖い。

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