02


平和な日常が戻った、ある日の事。

朝食を食べながら、至聖が唐突に言い出した。

「あ、あのさ、華原さん。今日、暇かな?」

「はい。毎日暇ですけど。何しろ今は軍の仕事も無くなり失業中の身ですので」

「じゃ、じゃあ!二人で図書館でも行かない?」

「図書館?何か調べ物でも?」

その時、それまで必死に何かに耐えていた燎が勢い良く立ち上がった。

「だあー!小学生か!デートならもっとスマートに誘え!」

だんとテーブルを叩いて食器を騒がせながら詰め寄る。

「大体、そういう事は二人の時にやれ!俺達に当てつけてるつもりか!?」

「そ、そんなつもりは……。それに俺はデートなんて下心は無いし」

「ありありだったじゃねえか!俺の目は誤魔化せねえぞ!」

そんな様子を傍観しながら、悠也が呟く。

「朝から元気だね」

「暇を持て余しているようだ。早々に次の職に就かせねば」

そう言った卓が、静かに食事を続ける真宵を見る。

「それで君は、五十嵐君の誘いを受けるのかね?」

尋ねられた真宵は、落ち着いた声で答える。

「ええ。他にやる事はありませんし。それに」

微笑んで至聖の方を見詰め、小さな声で付け足す。

「私、五十嵐さんといる時間は好きです」

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