03


ごく小さな声だったのに、皆が動きを止めて真宵を見た。

「か、華原さん……」

信じられない様子で、至聖が躊躇いがちに言った。

「俺の聞き間違いかもしれないけど……。今、俺のこと好きだって言った?」

「聞き違いです」

真宵はきっぱりと切り捨てた。

「私は貴方といる時間が好きだと言っただけです」

「同じ事だよ!」

「違います」

そんなやり取りを見守りながら、燎が頬杖をついて呟く。

「この二人、いつまでこんな感じなんだろうな」

「いいんじゃない?仲良くて」

「端で見ていると若干もどかしいがね」

それでも、ようやく訪れた穏やかな日々の中。

彼等が、決して消えない痛みを抱えているのは分かるから。

二人にとって大きな存在が消えてしまった後。

静かに涙を流していた、あの時を思い出すから。

今はただ、見守っていたい。

微笑ましい二人のことを。





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