02
灯りの無い闇の中。
音も立てず背後に忍び寄るもの。
異様な気配を感じて振り向いた先には。
そして、何が起こっているのか気付かぬ内に。
大きく穿たれた穴。
血が通い、肉が在った場所にぽっかりと。
奈落のように空いた風穴。
くず折れる頃には、跡形も無く。
消え失せ、書き換えられ、掻き代えられ。
後には何事も無かったかのように。
歩き去る、規則正しい足音。
その口元に浮かぶのは笑み。
闇に紛れながら、ソレは嘲笑う。
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Reservoir Amulet