05
確信を抱いて、刃物を突き付け詰め寄った。
お前は一体何者だと。
すると恋人の姿をしたモノは、見た事が無い程艶やかに、歪んだ微笑みを浮かべた。
瞳の色は濁り、狂気を宿しているように思えた。
緩やかに弧を描いた唇が、密やかに言葉を紡ぐ。
『よく気付いたな。お前達人類は、我らに比べ遥かに劣る種族だというのに』
聞き慣れているのに、聞き慣れていない声。
耳に触れるだけで幸せだった声は、聞くだけで不快な響きとなってしまった。
ああ、きっともう。
『興味深いな。その鋭さは何処から来るのか。我が型を模した人間は、最期までお前の名を呼んでいた。我もお前になれば、解せるだろうか』
ああ、どうして応えられなかったのか。
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Reservoir Amulet