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冗談や、悪い夢で済めばいいのに。
そうでないから、笑えなくて。
そうでないから、苦しむのだろう。
奪われ傷付いた者達が集う場所。
奪われ傷付いたままでは終われないと叫ぶ者達が、悪夢から醒める為の場所。
ざわめき立つ星々の海。
果てしない天空。
その中でたった一つ、自分達の惑星を守る為に。
立ち上がった者達は、これからどんな悪夢を見るだろう。
自分の部屋の前まで来た至聖は足を止め、隣のドアを見た。
閉ざされたドアはまるで城壁のように。
中にいるだろう女性の心のように。
一見脆そうで、簡単には踏み入らせない雰囲気を漂わせている。
いつか、来るだろうか。
守るべきものを守って。
奪われ傷付いた痛みが、少し優しくなって。
悪い夢みたいだったと笑って。
幸せに、穏やかに過ごせる日が。
来ればいい。
今はまだ、痛みに怯える心がいつの日か。
本当の微笑みに、優しさに還れるなら。
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Reservoir Amulet