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「……やっぱり、向いてないな」
「はい?」
「君は向いてない。軍に入って戦うなんて、華原さんには似合わないよ」
「…………」
真宵は何も答えなかった。
ただ背を向けて、会話を拒絶する意志を示す。
折れそうに細い後ろ姿を見詰めて息を吐く。
同じ部屋の中、二人の間の距離は短いのに。
とても、長い。
手を伸ばしても届かない、絶対の距離があるように。
その時、立ったまま資料をめくっていた真宵が、ぴたりと手を止めた。
「華原さん?」
呼び掛けると、強ばった体がゆっくりと振り向く。
「何か、気になる事でもあった?」
「いいえ」
首を振ってファイルを閉じ、元の場所に戻す。
不審に思いながら見ている至聖に、淡々と告げる。
「そろそろ此処を出た方が良いと思いましたので。まだ訪ねる場所もありますから」
「ああ、うん。そうだね」
納得出来ない気持ちがありつつも、頷いて立ち上がる。
詳しく聞こうとしたところで、答えてはもらえないだろう。
二人を隔てる壁は高く、厚い。
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Reservoir Amulet