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必要最低限の物しか置かれていない部屋の中は、若い女性が住んでいるようには思えない。

狭くて古い寮の部屋だから、無理もないだろう。

それでも、それぞれの部屋に小さいけれどキッチンとシャワールームがあるのは便利だ。

「お待たせしました」

奥から出て来た真宵が、至聖の前に紅茶の入ったカップを置く。

「有り難う」

「いえ。それで、お話とは?」

テーブルを挟んだ正面に座った真宵を見詰め、至聖は息を吸い込んだ。

「君に言いたかったんだ。もう無理しなくていいって」

「……何の事でしょう?」

探るような瞳に対し、静かに続ける。

「俺は知っているから」

手を伸ばして、微かに濡れている真宵の髪に触れる寸前で止める。

「君の髪が長かった頃の事を」

「…………」

真宵が息を飲むのが分かった。

大きく揺らいだ瞳を覗き込み、言葉を続ける。

「君が五十嵐至高と付き合っていた事も。その過去があったからこそ、今軍にいる事も。それを俺に知られないように、わざと冷たい態度を取っていた事も。俺は、ちゃんと分かってるから。だからもう、無理しなくていいんだ」

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