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「……うん、そうだね。ごめん」
「謝るのは、私の方です」
真宵は不意にきっぱりと言い、姿勢を正した。
「どんな理由や事情があったとしても、貴方にひどい態度を取っていたのに変わりはありません。沢山、嫌な思いをさせて傷付けてしまい、申し訳ありません」
深く頭を下げられて、至聖は慌てて言う。
「そんな事、気にしなくていいよ。君は俺の為にやってくれてたんだしさ。君が本当は誰かを傷付ける事で自分が傷付く優しい娘だって、俺は知ってるから」
「……でも」
まだ自分を責める瞳を覗き込んで笑い掛ける。
「じゃあ、明日の朝にオレンジジュース作ってくれる?」
「え?ええ。それは構いませんが」
「有り難う。それでこの話はお終い。華原さんのお手製ジュースは美味しいから、楽しみだよ」
真宵は驚いたように目を瞬いたが、やがて微笑んだ。
「不思議な人ですね、五十嵐さんって」
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Reservoir Amulet