波のざわめき.12
いつか、届くのだろうか。
「マイヤちゃん?こんな所でどうしたんだ」
「海斗さん」
海斗は庭に立っているマイヤに歩み寄りながら言う。
「そうして月光を浴びながら木の下に立っていると、まるで木の精みたいだね」
「海斗さんは、どうして此処に?」
「何となく眠れなくてね。ちょっと散歩だよ」
「そうなんですか。私もそんなところです」
小さく息をついて、夜空を見上げる。
「何となく落ち着かなくて、外に出てみたんです」
この気持ちを、なんて呼んだら良いのだろう。
胸が暖かく、切なくなるようなこの想いを。
祈るように、歌うように、胸は静かに高鳴る。
この想いを、なんて表現したら良いのだろう。
「……そっか」
海斗が優しい瞳をマイヤに向ける。
「マイヤちゃんには、話してもいいかな」
「はい?」
「俺が、都市庁を相手に戦う理由」
木々のざわめきが、二人を包み込む。
「親友が消されたんだ。都市庁に」
深く息を吐いて続ける。
「俺の親友は、優秀な記者だった。都市庁の悪事を暴く為にペンを取って……。それで、とうとう消された。あれ程、危ないって言ったのに……。だから、俺は記者になった。あいつが出来なかった事を俺がやる。そんなつもりで、今も足掻いてる。あいつは、もう帰って来ないのにね」
「……海斗さん」
しばらく黙り込んでから、マイヤがそっと言った。
「足掻きではないと思います。お友達の為にと戦う海斗さんの気持ちは尊いですし、とても……とてもつらかっただろうと思います」
「……やっぱり似てるね。君とシズマは」
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