熱.02


誰もが心の奥深くに持っている闇。

誰にも見せない扉の中の、触れてはいけない部分。

知られたくない、見られたくない。

そんな闇を、誰でも持っている。

要も海斗も、それにあの人も。

「マイヤ、これから支度か?俺にも手伝わせてくれ。……マイヤ?」

はっとして顔を上げると、キッチンに入って来たシズマがこちらを見ていた。

「あ、はい。すみません」

「大丈夫か?いつも家事をさせて悪いな。疲れてるだろ」

「いいえ、全然ですよ。楽しいですし」

並んで食事の支度をしながら、会話を交わす。

「要さんも海斗さんも、今日はお仕事ですよね」

「ああ。二人共忙しいみたいだな」

「また実験する時間が取れたら良いですけど」

そう言いながら、棚の上に乗っている皿へ手を伸ばす。

後少しで届きそうだ。

「ほら、これで良いか?」

背伸びをしているすぐ後ろに立って、シズマが皿を取る。

「マイヤ、こういう時は遠慮しないで俺を呼べ」

「あ、はい……」

シズマの息遣いが伝わってくる。

胸が高鳴るのを感じた。

頬が熱い。

「……マイヤ。顔が赤いぞ」

「え?」

シズマが真剣な顔で額に手を当てて来る。

「おい、ひどい熱だぞ!」

「え、そうなんですか……?」

「とにかく早く寝ろ」

促されて体を動かそうと思った時には、既に体中が熱く、だるくなっていた。

立っていられない。

「……っ」

ぐらりと視界が揺れた瞬間、自分の名を呼ぶ声を聞いた気がした。





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