熱.03


冷たくて優しい手のひらが額に触れるのを感じ、目を開ける。

深い色をたたえた瞳が見えて、自分でも驚く程安心した。

「シズマさん……」

「気が付いたか、良かった。此処はお前の部屋だ」

「私、どうして……」

「突然意識を失って倒れたんだ。ただの風邪だと思うが」

体を起こしながら、慌てて言う。

「すみません。私、迷惑を……」

「そんな事、気にしなくていい」

ベッドの側の椅子に腰を下ろしているシズマが、手を伸ばしてもう一度額に触れる。

「まだ熱が高いな。食欲はあるか?お粥なら用意してあるが。食べれるか?」

「あ、はい……。有り難うございます」

「よし、ちょっと待ってろ」

シズマはすぐに立ち上がり、しばらくして湯気の立つ小さな土鍋を運んで来た。

「わあ、美味しそうですね。シズマさんが作って下さったんですか?」

「まあな。薬を飲む前に、何か食べた方が良いだろう」

「有り難うございます。頂きます」

手を合わせてから、一口食べてみる。

それは温かくて優しい味がして、何だか涙が出そうになった。

シズマはゆっくりお粥を口に運ぶのを暖かく見守り、食べ終わってから薬を差し出した。

「少し苦いが、ちゃんと飲めよ」

「はい」

素直に受け取り、コップの水で流し込んでから顔をしかめる。

「……本当に苦いですね」

「俺を心配させた罰だな。後はゆっくり眠れ。まずは体を休めないとな」

「はい」

再びベッドに横になると、優しい微笑みが見えた。

「目を覚ますまで、側にいてやるよ。だから、安心して眠れ」

「……はい」

目を閉じたマイヤの口元に手を近付けて、軽く息をつく。

呼吸が落ち着いて来たようだ。

こうして見ると、マイヤも女性なのだという事に改めて気付かされる。

自分より弱くて儚くて、だからこそ守り慈しむべき存在。

例え普段はどんなに強くても、その心は繊細で折れてしまいそうな程に美しいから。





- 134 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

表紙へ

ページ:



Reservoir Amulet