箱船.2
白いブラウスを着てから黒い上着を取り上げ、マイヤは軽く息をついた。
またこの制服を着る時が来るなんて、思いもしなかった。
四年前、都市庁に潜入する際に身に纏った、この制服。
あの閉ざされた場所へ、再び潜入する事になるなんて。
そっと自分の腕に手を当てた時、部屋のドアがノックされた。
「マイヤ、今いいか?」
「はい」
返事の後に入って来たシズマは、ネクタイを手にした様子を見て言った。
「悪い、まだ着替え終わってなかったのか。後にした方がいいか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか、有り難う。お前に、これを渡しておこうと思ってな」
ネクタイを置き、シズマが差し出した箱を受け取る。
「これは……」
「銃弾だ。お前の銃は俺の物と同じ、都市庁の職員に渡される護身用の銃みたいだったからな」
「はい。父が持っていた銃なんです」
「必要な局面は無いとは思うが、念の為に渡しておく」
しばらく渡された箱を見詰め、それからシズマを見上げる。
「……有り難うございます」
「マイヤ?どうかしたのか」
「いいえ。何でもありません」
探るようにシズマに視線を向けたまま、自分の中で問い掛ける。
いつものシズマだろうか。
いつもと何も変わらない。
何も、変わった様子は無い。
それでも、何処か。
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Reservoir Amulet