箱船.2


白いブラウスを着てから黒い上着を取り上げ、マイヤは軽く息をついた。

またこの制服を着る時が来るなんて、思いもしなかった。

四年前、都市庁に潜入する際に身に纏った、この制服。

あの閉ざされた場所へ、再び潜入する事になるなんて。

そっと自分の腕に手を当てた時、部屋のドアがノックされた。

「マイヤ、今いいか?」

「はい」

返事の後に入って来たシズマは、ネクタイを手にした様子を見て言った。

「悪い、まだ着替え終わってなかったのか。後にした方がいいか?」

「いえ、大丈夫です」

「そうか、有り難う。お前に、これを渡しておこうと思ってな」

ネクタイを置き、シズマが差し出した箱を受け取る。

「これは……」

「銃弾だ。お前の銃は俺の物と同じ、都市庁の職員に渡される護身用の銃みたいだったからな」

「はい。父が持っていた銃なんです」

「必要な局面は無いとは思うが、念の為に渡しておく」

しばらく渡された箱を見詰め、それからシズマを見上げる。

「……有り難うございます」

「マイヤ?どうかしたのか」

「いいえ。何でもありません」

探るようにシズマに視線を向けたまま、自分の中で問い掛ける。

いつものシズマだろうか。

いつもと何も変わらない。

何も、変わった様子は無い。

それでも、何処か。

- 151 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

表紙へ

ページ:



Reservoir Amulet