箱船.14
ぐったりとした彼女の体を、そっと横たえる。
乱れた髪を指で整えて、自分の上着を脱いで静かに掛ける。
傷付けただろう。
嫌われたに決まっている。
もう、あの笑顔を向けてくれる事も無いだろう。
けれど、それでも。
立ち上がり、マイヤに背を向けて歩き出す。
居心地の良い還る場所を、自ら手放す。
こうしなければ、前へ進めなくなりそうで。
罪を幾度も重ねた、もう何も持たないこの手だけで。
掴み取る、望んだものを。
奪う、似合わない苦しみを。
全て、悪夢には終焉を。
誰よりも穏やかな安らぎが似合う彼女の為に。
再び、冷たいこの場所に戻って。
掴み取り、奪う。
全ての始まりは、此処にあるから。
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Reservoir Amulet