プリズム.15
ざわざわとざわめく想いは、形を持たず揺らめいて。
今はまだ、言葉にはならない。
「いい加減、戯言は終わりにしよう」
マイヤに向けて銃を構え、司が言った。
「シズマが再び立ち上がり、動くまでの時間を稼ごうとしているなら無駄な事だ。君達が邪魔をするなら排除する」
マイヤは左手をポケットに入れたまま、臆する事無く見返した。
「やれるのなら、どうぞ」
厳しい光を宿した瞳で言い放つ。
「でも、簡単に私を倒せはしませんよ」
「今の君に戦えるかい?どんなに気丈に振舞っていても、立っているのがやっとだろう」
「必要であれば」
右手で銃を取り出し、構える。
「体調も、戦えるかどうかも関係ありません。どんなに愚かだと言われても、私はこうすると決めましたから」
もう後戻りは出来ない。
戻らない時間を、前に進むしかないならば。
もう後悔するのは嫌だから。
前を見据えて、今は振り返らずに。
自分に出来る全てを。
向けられる明らかな殺意を前に、微笑んで告げる。
「私はただ、大切なものを守りたいだけです」
そう言ってから、心の中でシズマに語りかける。
(シズマさん、貴方ならきっと……。待っていますね)
待っているから、ずっと。
あの日沈めた想いは、深海の底で。
眠りの中で待っている。
目覚めの時を。
辛い記憶は今と繋がり、そして未来へ。
確かに広がる、その時を。
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