風の示す場所へ.2


静かに揺れる波の下に、微かな光に照らされた都市が見える。

その様子は、まるで手の届かない夢のようで。

あの中で生活していた日々でさえ、何だか夢のように思えてしまう。

都市が沈んでから1ヶ月程が過ぎた。

避難した都市の住人は、まだ大半が巨大な船の中で生活している。

夜更けに船の甲板に立つと、潮風が髪を揺らす。

マイヤはぼんやりと海を眺めながら溜息をこぼした。

あれから少し時が過ぎて。

全てが夢のように思えても。

そうじゃないと告げるように胸が騒ぐから。

どうしてか、眠れない。

色々な事があって、今があまりにも静かだからだろうか。

波音だけが、全てを包む。

その中で目を閉じて馳せてみる。

言葉に出来ない想いを。









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