風の示す場所へ.9


「だがこれは嘘じゃない。偽りの無い、本当の俺の気持ちだ」

向けてくれる言葉が嬉しい。

「……有り難うございます、シズマさん」

笑いたいのに、この上無く幸せなのに。

涙が溢れて来る。

「私も貴方が、好きです。ずっと側にいさせて下さい」

ずっと秘めていた想い。

それを伝えられるのは、何て幸せだろう。

「有り難う」

そして、優しい微笑で受け止めてもらえるのは。

腕を伸ばしたシズマに引き寄せられ、温もりに包み込まれる。

「今なら、確信を込めて言える。例えどんな悪夢が生まれても、この世界には優しい夢もある。闇の向こうに光はある」

長い指が髪を撫で、そっと上向けられる。

「マイヤがいてくれるから、俺は信じていられる」

深い瞳に吸い込まれる。

海のように静けさと激しさを秘めた綺麗な色。

誘われるままに目を閉じる。

やがて重なる温かな唇。

以前の口付けとは違う穏やかな。

暖かな愛情が流れ込んで来て満たされる。










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