風の示す場所へ.8
暖かな気持ちが胸に迫って何も言えないまま、微笑んで見詰め返す。
そして、自分を映すシズマの熱い瞳に息を飲む。
「マイヤ。俺はお前が好きだ。これからもずっと、俺の側に居てくれるか?」
真っ直ぐな言葉。
混ざり気の無い想い。
向けられた熱情が、すぐには信じられない。
「信じ難いよな。これまで幾つも嘘をついて欺いて来たから」
「……っ、いいえ。それは私も同じです」
嘘をついて欺いて近付いたのは、自分だって同じだ。
だからこそ、そんな真っ直ぐな想いを向けてもらえるなんて。
自分と同じ気持ちを、シズマも持っていてくれたら。
心の深くで、そう願ってはいたけれど。
言葉にしなくても、確かなものでなくても。
ただ側にいられたら、それだけで充分だと思っていたのに。
それなのに。
- 233 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet