風の示す場所へ.8


暖かな気持ちが胸に迫って何も言えないまま、微笑んで見詰め返す。

そして、自分を映すシズマの熱い瞳に息を飲む。

「マイヤ。俺はお前が好きだ。これからもずっと、俺の側に居てくれるか?」

真っ直ぐな言葉。

混ざり気の無い想い。

向けられた熱情が、すぐには信じられない。

「信じ難いよな。これまで幾つも嘘をついて欺いて来たから」

「……っ、いいえ。それは私も同じです」

嘘をついて欺いて近付いたのは、自分だって同じだ。

だからこそ、そんな真っ直ぐな想いを向けてもらえるなんて。

自分と同じ気持ちを、シズマも持っていてくれたら。

心の深くで、そう願ってはいたけれど。

言葉にしなくても、確かなものでなくても。

ただ側にいられたら、それだけで充分だと思っていたのに。

それなのに。

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