崩れ出す砂の城.02
舞夜は中庭のベンチに一人で座り、少し前に要から渡されたプリントを手に息をついた。
レポートの発表会の日程が決まった。
くじで決まった発表の順番は、よりによって一番最後だった。
ついているのか、いないのか。
プリントから目を離し、空を仰ぐ。
鎮真も要も、好きなようにやれば良いと言う。
やりたい事、好きな事なんて一つしか無くて。
今更何を悩むのかと思うのに。
そう、叶うならもう一度。
もう一度だけ。
「……?」
不意に何か柔らかいものが足に触れて視線を落とす。
そこにいたのは、黒い毛並みの一匹の犬だった。
「わあ、可愛い!」
思わず声を上げて手を伸ばすと、犬は人懐こくしっぽを振りながら地面に寝転んだ。
「初めまして。もっと撫でていいんですか?」
しゃがみ込んで撫でると犬はしばらくされるままになっていたが、やがて一つ鳴き声を上げて行ってしまった。
まるで呼ばれたような気がして、思わず後を追い掛ける。
木々の間を抜けると、少し開けた場所に出た。
木漏れ日が射し込み、木の葉の影がちらちらと揺れている。
辺りを緑で囲まれた、秘密基地のような場所だった。
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Reservoir Amulet