崩れ出す砂の城.03


犬を探して視線を巡らすと、木の影に黒いものが見えた。

(あ、あんな所に)

犬を見付けたと思って覗き込み、驚いて息を飲む。

(先生……!?)

黒いスーツを着た鎮真が、草の上に寝転んでいた。

その目は閉じられ、規則正しい寝息が顔にかかる髪を揺らしている。

起こさないようにそっと近付き、その側に膝をつく。

読んでいたらしい本が、開いたまま傍らに落ちている。

着ている服が黒いせいか、何処か先程の犬を思わせた。

(さっきの犬が、先生になったみたい)

自分の考えに一人で笑みをこぼした時、鎮真がゆっくりと目を開けた。

「……春日?」

「あ、ごめんなさい、先生。起こしてしまいましたね」

鎮真は体を起こしながら呟く。

「構わねえよ。むしろ、助かった」

「え?」

「いや、それより春日は何で此処に来たんだ?」

「私は、犬を追い掛けて」

その答えを聞き、鎮真が僅かに眉を上げた。

「春日も物好きだな。あっちこっち葉が付いてるぞ」

手を伸ばして、舞夜の髪や服に付いた葉を払い落とす。

「あ、有り難うございます」

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