崩れ出す砂の城.15


ひたすら動いていた指が、ふと止まった。

文字が乱れる。

冷静に綴らなければならないのに、心が乱れる。

何故か、不意に泣きたくなった。

ペンを握る手で、自分に額を押さえる。

今になって、傷付く事が怖くなったのか。

もう戻る事なんて出来ないのに。

「分かっていた事じゃないですか……」

初めから、ずっと。

もうすぐ終わる。

終わってしまう時が来てしまう。

だからせめて、その前にもう一度だけ。

赤い跡が青に飲まれる夢から覚めても、もう一度。

まだ見ない夢の方まで、一人で走り続ける。

息をついて、ペンを持ち直す。

今はただ、書くだけだ。

いつも求め続けた、その想いが力となっていつか届くように。

遠回りでも、同じ場所を巡り続けているだけでも。

いつかはこの場所を飛び出して、外へ。

自分の芯にあるものを信じて。

遠い場所へ。

もう少しだと思うから。

もう少しで、この夢は終わる。

だからいつか、その時が来ても悔やむ事の無いように。

自分が選んだ道から生まれる代償も、全てを受け止めて。

微笑みを願うから、いつもただ。

今は遠くても、いつかはこの想いが。

本当の想いが。

届いてほしい。

いつか貴方へ。

本当の貴方へ。





- 51 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

表紙へ

ページ:



Reservoir Amulet