ただ一つ確かなもの.02
段々と発表会の日が近付いて来た。
舞夜は教室の自分の席でパソコンに向かいながら、時計を見上げた。
(もう、こんな時間ですか……)
息をついてパソコンの電源を切る。
一人一人の生徒にノートパソコンが与えられている為、ほとんどの生徒がパソコンを使って授業の記録を取ったり宿題をする。
舞夜も発表会のレポートをパソコンで書いていた。
転入して来る時に書いたレポートが思ったより高い評価を受けたせいか、発表会でのレポートにも期待されてしまっているらしい。
そんな事は関係無いけれど、やはり緊張はする。
小型のパソコンを鞄に仕舞い、教室から出る。
廊下を歩いているだけで分かる。
この学院は、本当に生徒数が多い。
放課後になっても、皆熱心に部活動や研究に励んでいる。
職員の研究室が集まる校舎へ続く廊下へ差し掛かって、ふと立ち止まった。
転入して来た日に鎮真の研究室を訪ねた事を思い出し、何気無くその時と同じ道を辿る。
やがてあの時と同じドアの前に着き、その場に立ち尽くす。
此処まで来て。
自分は一体どうしたかったのだろうか。
特に用も無いのに訪ねるなど迷惑だろう。
ドアを見詰めたまま、ぼんやりと考えにふける。
そういえばこれまでもずっと、何かと気に掛けてくれていたけれど。
どうしていつも、あんなにも。
やはり自分が転入生で、困っているように見えたからだろうか。
物理学科にいるからだろうか。
教師と生徒だからだろうか。
それとも。
(……なんて、考えても仕方無いですよね)
きっと、もうすぐに。
- 53 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet