ただ一つ確かなもの.07


結局、駅に着くまで二人は無言のままだった。

「じゃあ、また学院でな」

「はい。本当に有り難うございました」

挨拶を交わし、笑顔で別れる。

雑踏の中をしばらく歩いたところで、鎮真は立ち止まった。

振り向いた先に、もう彼女の姿は無い。

息を吐き出し、携帯電話を取り出す。

今はまだ、何の連絡も来ていない。

だが、いずれは必ず結果が出るだろう。

けれど、もしも願いが叶うのなら。

このまま、自分の勘違いで終わってほしい。

そう思ってから、自嘲の笑みを浮かべる。

叶わないお願いだ。

分かっているのに願わずにいられない程。

今日が、これまでが、きっと楽しかったのだろう。

そして、夕焼けは燃える。

想いを全て焼き尽くすかのように、赤く美しく。

この光を、あと何度見る事が出来るだろうか。





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