秋
街灯が照らす夜道を歩きながら、腕時計に目を落とす。
少し離れた駐車場に車が停めてある。
暖かい室内にいたからか、冷たい空気も心地良く感じた。
『私も一緒に戦います』
不意に彼女の声を思い出して、思わず足を止めた。
ずっと一人で戦って来た。
その事に疑問すら抱かずに。
自分の役目と受け入れて来たのに。
思いがけず飛び込んで来た存在に、掻き乱されるとは思わなかった。
連絡先を交換したものの、これで良かったのだろうか。
ただの予想ではあるが、彼女はとても厄介な気がする。
今思っている以上に、こちらへ踏み込んで来てしまいそうで。
けれど、もう引き返せない。
全ての縁に意味があるなら。
ずっと一人だった自分が彼女と出会ったのにも、きっと意味があるのだろう。
一度繋がったものは、簡単に断ち切れない。
これから何処へ向かうにしても。
何処へ着くのだとしても。
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Reservoir Amulet