追憶
その事を、永い夢の中で知った。
夢で未来を、時には他の事も見る。
彼女の力は、時を経た今も失われてはいないのかもしれない。
そこまで考えて息を吐き、細い肩に手を置く。
「事情はどうあれ、とても幸せそうでしたね」
「……はい」
力を持つのは、益になる事ばかりではない。
時には、それによって傷付く事も。
だから、寄り添って行きたい。
離れていた間の寂しさを、満たして余りある程に。
いつかは、あの二人のように。
側にいる事が幸せだと、笑い合えたら良いけれど。
考えながら歩いていると、不意に温もりが指先に触れた。
「…………」
何も言わないまま、控え目に指先を握る桔梗の手を握り返す。
今はまだ、言葉はいらない。
ただ、この温もりがあれば良い。
車に乗るまでの、ほんの一瞬でも。
今はただ、この温もりだけで良い。
君の温もりだけで良い。
君だけが良い。
- 199 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet