追憶


その事を、永い夢の中で知った。

夢で未来を、時には他の事も見る。

彼女の力は、時を経た今も失われてはいないのかもしれない。

そこまで考えて息を吐き、細い肩に手を置く。

「事情はどうあれ、とても幸せそうでしたね」

「……はい」

力を持つのは、益になる事ばかりではない。

時には、それによって傷付く事も。

だから、寄り添って行きたい。

離れていた間の寂しさを、満たして余りある程に。

いつかは、あの二人のように。

側にいる事が幸せだと、笑い合えたら良いけれど。

考えながら歩いていると、不意に温もりが指先に触れた。

「…………」

何も言わないまま、控え目に指先を握る桔梗の手を握り返す。

今はまだ、言葉はいらない。

ただ、この温もりがあれば良い。

車に乗るまでの、ほんの一瞬でも。

今はただ、この温もりだけで良い。

君の温もりだけで良い。

君だけが良い。







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